​睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸)

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新幹線の運転士が居眠り運転をして乗り越し事件や、高速バスの運転士による居眠り運転の事故などから、広く睡眠時無呼吸は認知されてきています。

​金沢医科大学呼吸器内科学に在籍していた時に、研究してきた疾患です。無呼吸を引き起こす原因となる上気道病態の研究や、二酸化炭素の換気応答が病態へ及ぼす影響のほか、産学連携を通して、石川県工業試験場や企業と連携したスマホによる簡易診断装置の開発、新しい治療法の研究などに携わってきました。

 

  • この疾患の有病率は、人口の3-4%と言われていますが、10%ほどとの報告もあり、石川県でも3-4万人から多い場合は10万人の患者さんがいると推定され、治療が必要な方が多く潜在しています。

  • また、高血圧や糖尿病など生活習慣病や不整脈、狭心症、心筋梗塞など心疾患、脳梗塞、脳出血など脳血管障害、逆流性食道炎など消化器疾患、夜間頻尿など泌尿器疾患のほか突然死、うつ病など精神疾患などとの関連も指摘され全身疾患と捉えられています。最近では、夜間の無呼吸や低呼吸により繰り返される低酸素による癌との関係も報告されています。

  • 社会的問題として、居眠り運転による交通事故のほか、仕事での作業効率低下や学習能力の低下などにも関係しています。

[原因]

1.形態的原因

  肥満、小顎症、舌肥大、扁桃肥大、アデノイドに伴う咽頭腔の狭小化。

2.機能的原因

  上気道開大筋群の活動の減少、上気道のつぶれやすさの増加

 覚醒時には、上気道が狭くても、咽頭腔が閉塞しないようにオトガイ舌筋などが呼吸に同期して収縮し、咽頭腔の開存性は保たれます。睡眠によりこの反応が低下すると、気道が閉塞し無呼吸が出現します。加齢や閉経による女性ホルモンの変化によっても上気道開大筋群の活動が減少し、無呼吸が起きやすくなります。

3.呼吸中枢の不安定性

 換気の変化に対する反応が大きいと、無呼吸から呼吸が再開したときに過剰反応となり、過換気・低換気を繰り返しやすい状態になります。

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フクロウのデッサン

図:日本呼吸器学会ホームページより引用

 

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[診断]

無呼吸: 10秒以上の鼻、及び口における気流の停止。

低呼吸: 10秒以上の安定した呼吸より気流が50%以下に減少。

無呼吸・低呼吸指数(AHI:apnea hypopnea index):

   睡眠1時間に10秒以上続く無呼吸/低呼吸の頻度。

     重症度分類

    軽症 : 5≦AHI<15

   中等症 :15≦AHI<30

    重症 :    AHI≧30

[検査]

1)パルスオキシメーターのみによる経皮的酸素飽和度:SpO2の連続記録(簡易睡眠検査)

鼻口気流、胸部もしくは腹部の呼吸運動、気管音、SpO2モニターなどを同時記録。脳波が記録されず、睡眠時間や睡眠の質などの判定が出来ません。

2)終夜ポリソムノグラフィー(PSG)

脳波(ECG)、筋電図(chin EMG)、眼球運動(EOG)等で睡眠段階、覚醒反応の有無などの睡眠の状態の確認とエアフローセンサー、腹部胸部センサーで無呼吸の程度、中枢型か閉塞型かの判別できます。

 

[治療目的]

AHI≧20/時間以上の無治療群の予後が悪く、30~49歳では死亡率は3.3倍に達するといわれています。

•患者の自覚症状を和らげると同時に合併症の予防、生命予後を延長することにある。

[治療法]

1.減量療法

2.マスク式持続陽圧呼吸(Continuous Positive Airway Pressure, CPAP, シーパップ)

​*ネット環境を用いたCPAPの治療状況の確認を行っています

3.口腔内装置

4.耳鼻科的手術:扁桃摘除術、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(Uvulopalatopharyngoplasty, UPPP)